東京出身の臼井真由美さん。東京の農場で技術職員として農場管理や、京都でドローンの研究調査などを経験し、2019年から田村市のテラス石森に事務所を構えたプランツラボラトリー福島イノベーションセンターの所長として移住し、植物工場の実証研究に取り組んでいます。
福島イノベーションセンター所長就任のきっかけ
Q.これまでの経歴について教えてください
大学では農業や環境問題、地域おこしなどを学んでいました。卒業後は東京大学付属の農場で技術職員として農場の管理や教授の研究の補助などをしていました。
東大の教授はドローンを使った生育観察とか新しい研究をされてる方がたくさんいて、そういう技術を使って日本の農業を変えられるかもしれないなと思って、5年半程働いた後に京都のドローンを扱う会社に転職して、研究調査をしているグループで1年半程働いていました。
Q.田村市にきたきっかけはなんですか?
そろそろ次にいこう!と思って会社を辞めるという時に、今の会社の社長に誘っていただきました。勤務先は東京か福島かで選択肢がありましたが、福島で働くことを選びました。
いつか農業分野には戻りたいなと思っていたこともあったので、福島の植物工場で新しい技術を使って野菜を作る、そういう農業のあり方もいいなと。
Q.お仕事について教えてください。
ビニールハウス型の植物工場を建ててイチゴの水耕栽培の実証研究をしています。
エアコンとLEDでコントロールができるので、真夏でも真冬でも年間通じて栽培をすることができます。
移住して感じたこと
Q.実際に移住してみてどう感じましたか?
来てみたら、意外といいなと(笑)
福島の真ん中で東京から来やすくて交通の便もいいし、環境もいいし、土地もある。
地元の方を雇用していますが、優秀な方が来てくれて助かっています。
Q.移住するにあたって不安に思ったことはありますか?
私は移動が好きなタイプだったので、不安というほどのものは特にありませんでしたね。
しいて言うなら、全然知らない町に行くんだなーという漠然としたものはありました。
会社の人にはすごい田舎だから合わないかもね、なんてことを言われていたのですが、言うほど田舎ではなかった。(笑)
最近は田村市周辺の町、町過ぎない町にも興味があります。
Q.暮らしてみていいなと思ったことはありますか?
いいところはいっぱいあります。小高い高原で自然が豊かだし、山が見えて緑が多い。
空港も近いから出張に行くのも不便しないし、車に乗るとどこにでも行けて、生活必需品の調達にも困らないです。
福島の人はみんなやさしくて、接していていやな気分になったことがありませんよ。
Q.暮らしてみて困ったことはありますか?
あまり困ったことはないですが、しいていうなら、物足りなさみたいなものはあります。
人口密度が低いのは良いことでもありますが、常日頃新しい刺激を受けられる人との出会いは少ないということでもあります。
行き交う人や広告のような外からの刺激が多い東京等とは違って、良い意味でも悪い意味でも外界からのストレスが少ないです。(笑)
Q.テラス石森はどんな場所ですか?
テラス石森はいろんな人が集まっている場所で、面白い考え方の人たちがいるので出会えてよかったと思います。
これから都会じゃないところに移住してくる人って、新しいことを始めようとしている人も多いので、こういう拠点的なところがあるといいと思います。
Q.これからどんなことをしたいと考えていますか?
色んな人に会いたいなと思っています。あとはふくしま全部知りたいみたいな。(笑)
仕事に関していえば、これまで農家がやってきてくれたことが大きな功績なのは間違いないところですが、これから農業人口が減っていく中で農業を新しい技術でなんとかしていきたい、それが復興のお手伝いになればいいなと思っています。