2013年に古殿町へIターンされた吉田千尋さん。千葉県出身で美術系の専門学校を卒業後、テレビ局の美術スタッフ、画家として個展の開催、ライブハウスの装飾やイベント主催を経験。現在は町内にある「吉田写真館・吉田製作所」にて、ご主人と写真館の運営、自社イベントである「カラフルタイム」を企画されています。
福島で出会った「人」と「田舎」に会いたい!結婚しなくても移住してたはず。
Q..移住した経緯を教えてください。
はじめて福島に関わりをもったきっかけは、東京で個展を開いたときに来て下さったお客さんのお誘いでした。当時、個人でSNSを利用して福島県の鮫川村で農業体験をする会を主催している方がいて、全国各地から人が集まっていました。そのお客さんがそこに参加していたんです。2~3カ月に一回のペースで栽培から収穫を体験するもので、地元の方も交えてみんなでとれたものをBBQするのが楽しかったですね。その中のひとりに、吉田写真館の三代目カメラマンである今の夫がいました。2012年に結婚・出産と同時に移住したのですが、きっかけになった農業体験の主催者さん(彼女も県外からの移住者)は白河市に嫁いでいます。(笑)
Q.農業体験がきっかけだったと思いますが、移住しようと考えた理由を教えて下さい。
こんな山奥にこんな面白い人がいるんだなという衝撃を受けました。明るくて素直で、お酒が好きで、ギャグのセンスがある人がたくさんいますよね。とにかく、フィーリングが合うというか、笑いのツボが合うなという印象でした。(笑)あとは単純になまっているところも個人的にツボです。(笑)福島のなまりがとても好きです。そんなわけで震災前から農業体験で福島には何度も来ていたので、震災後に移住しましたが、不安というよりも福島で出会った友達に会いたいという気持ちが強かったですね。結婚しなくても移住したいと思っていました。
Q.移住へのあこがれはあったのですか?
実家が千葉県で、両親の出身が東京と神戸で都会だったので、大好きだったジブリ作品の影響もあって子供の頃からいわゆる「田舎」へのあこがれがありましたね。画家だった祖父の影響で、小さいころから美術に興味がありました。中学生頃から職業にすることを意識し始めて、高校は東京の高校のデザイン科に進学して、専門学校では舞台・テレビ業界を学びました。卒業後は、テレビ局の美術スタッフとして就職し、絵を描くことや音楽も好きだったので個展の開催やライブハウスでライブペインティングなどもしていました。スタジオのセットやイベント出店の際の装飾品は自分で作ることが多いですね。
Q.移住してみていかがですか?
うわさが広まりやすいのは地方ならではだと感じますね。若い人達は恥ずかしがりな方が多いイメージがあります。撮影会やイベントを開催する時も、地元の方には「なんか、おしゃれだから気が引けちゃう、、」なんておっしゃる方もいらっしゃいます。写真館として運営していくには、おしゃれなスタジオにして頑張らないといといけない部分もありますし、地元の写真館として地域の人たちを置いてけぼりにしないように、かつ地域外の人にも来ていただけるようにバランスをとることが必要だと思っています。
(←HPから拝借いたしました。)
Q.地方の子育て・暮らしの環境はいかがですか?
こども園が新しくて広く、先生も優しく大変お世話になっています。ただ、町内に小児科・産婦人科がないので、車で一時間弱かかるところに行っています。生活面で言うと、本屋や喫茶店が無かったり文化的なことが東京と比べると削られていると感じます。吉田製作所では、普段来て下さっているお客さんや地元の方への感謝の気持ちとして「カラフルタイム」を開催していますが、文化面でプラスになればいいなという狙いも実はあります。町に喫茶店はないけど、町がやるのではなくて、やりたい人を応援する町になって欲しいです。
地方で挑戦する人をスカウトしたい
Q.地域の中で新しいことをやりたい人に向けて
いきなり地域で起業すること、新しいことにチャレンジするのはハードルが高いですよね。だけど、地域で自営業を成り立たせている先輩がいれば、不安は少し解消されると思うんです。栃木県黒磯にある「SHOZO COFFEE」さんのようなお店に憧れています。地方で何か新しいことをやりたいと思っている人をスカウトしたいです。古殿町にはカフェが無いのでカフェオーナーを募集中です(笑)
Q.最後に今後の目標などを教えてください。
昔ながらの写真館として、地域の人たちに親しみやすさを残しつつ、新しいことも取り組んでいきたいです。やりたいことはたくさんあるのですが、具体的に今話が進んでいるのはイラストレーターさんとのコラボ撮影会です。吉田製作所ならではの写真がとれるように、強みを作っていきたいです。もうひとつの目的としては、異業種間のコラボを通じて、それぞれの仕事をやっている人たちが力を合わせることで大きなことができること、得意な事をもつ人同士が力を合わせることで未知の可能性が生まれることを伝えていきたいですし、好きなことを仕事にしていいと思えるように、子供たちの将来に選択肢の種をまいていきたいです。